不動産会社のLINE活用術 やり取りの始め方と注意点2026
この記事の要点
- LINE導入は公式アカウント開設と社内ルール作りが基本の手順になる
- 複数担当者で使う場合は対応記録を残す仕組みが引き継ぎに役立つ
- 広告表示や個人情報の扱いは所管の窓口や専門家で確認する必要がある
不動産会社がLINEでやり取りする方法と注意点
不動産会社がLINEで顧客とやり取りするには、公式アカウントを用意し、問い合わせ窓口として案内する方法が中心になる。導入自体は難しくないが、宅地建物取引業法に基づく広告表示や個人情報の扱いには注意が必要で、運用ルールを決めずに始めると後からトラブルになりやすい。
電話やメールに比べて返信のハードルが低く、内見予約や簡単な質問のやり取りに向いているとされる。一方で、使い方を誤ると顧客との距離感を誤解されたり、担当者ごとに対応がばらついたりすることもある。ここでは、導入の手順と運用時に気をつけたい点を整理する。
なぜ不動産会社でLINEが使われるようになったのか
賃貸・売買を問わず、問い合わせの入口が電話からウェブへ移ってきたことが背景にある。ホームページやポータルサイトの物件ページを見た人が、そのまま電話をかけるのではなく、まずはメッセージで気軽に聞いてみたいと考えるケースが増えている。
LINEは普段から使い慣れているアプリであるため、メールフォームよりも返信の心理的なハードルが低いと言われる。内見日程の調整や、物件の簡単な質問といった短いやり取りには特に向いている。
ただし、LINEでのやり取りが集客そのものを押し上げるわけではない。ホームページや物件広告で「知ってもらう」入口を作り、そこから問い合わせの手段としてLINEを用意する、という位置づけで考えるとわかりやすい。集客の結果は地域や業種、取り組み方で変わり、成果を約束するものではない。
導入の手順
一般的な流れは次のようになる。
- LINEの公式アカウントを開設する
- ホームページや名刺、店頭に二次元コードを掲示し、友だち登録を案内する
- 問い合わせ用の自動応答メッセージを用意する
- 担当者が個別に返信する体制を決める
- 対応時間や返信のルールを社内で共有する
アカウントの開設方法や機能の詳細、料金体系については、提供元の公式の案内で確かめてほしい。本稿では不動産会社としての運用面に絞って解説する。
友だち登録を増やすこと自体が目的化してしまい、登録後のフォローが手薄になるケースがある。登録した人に何を届けるか、どのタイミングで担当者が個別対応に切り替えるかを、導入前に決めておくと運用がぶれにくい。
複数担当者で使うときのルール作り
一人の営業担当がLINEでやり取りする分には問題が起きにくいが、複数の担当者や店舗で共有するアカウントになると、対応のばらつきが課題になりやすい。
起こりやすい失敗として、次のようなケースがある。

- 担当者によって返信の速さや言葉遣いに差が出てしまう
- 誰が対応したか記録が残らず、同じ質問に二重で答えてしまう
- 個人のLINEアカウントで顧客とやり取りを始めてしまい、退職時に顧客情報が引き継げなくなる
こうした事態を避けるため、法人向けの公式アカウントを使い、個人のLINEでのやり取りに頼らない体制を作ることが基本になる。また、誰がいつ対応したかを記録に残す仕組みを、簡易なものでも用意しておくと引き継ぎがしやすくなる。
広告表示・個人情報の取り扱いで確認しておきたいこと
LINE上で物件情報や価格を案内する場合も、通常の広告と同じく宅地建物取引業法に基づく表示のルールが関係してくる。おとり広告の禁止や必要な表示事項については、不動産公正取引協議会や国土交通省の案内で確かめてから運用を始めることが望ましい。
また、LINEで得た氏名や連絡先、物件の希望条件といった情報は個人情報にあたる。社内での保管方法や、第三者への提供の有無について、あらかじめ方針を決めておく必要がある。個人情報の取り扱いに関する決まりについては、所管の窓口や専門家に確認してほしい。
問い合わせから内見・契約までの流れの中での位置づけ
LINEは、問い合わせを受け付けて内見につなげる段階で特に力を発揮しやすい。日程調整や簡単な質問のやり取りには向いているが、重要事項の説明や契約条件の詳細なすり合わせは、対面や書面でのやり取りに切り替える会社が多い。
知ってもらう段階ではホームページや広告、査定・内見を頼んでもらう段階ではLINEや電話での個別対応、媒介・契約の段階では対面や書面でのやり取り、というように、場面ごとに手段を使い分けることが運用のポイントになる。どの段階でもしつこい連絡で追いかけるような対応は避け、顧客側のペースを尊重した運用を心がけたい。
運用を始める前に社内で決めておきたいこと
最後に、LINE導入前にチェックしておきたい項目を挙げる。
- 対応時間帯(営業時間内のみか、時間外も一定の範囲で対応するか)
- 返信の目安となる言葉遣いやテンプレートの有無
- 個人情報の保存場所と閲覧できる担当者の範囲
- 広告表示に関わる内容を送る際のチェック体制
- 担当者が不在の場合の引き継ぎ方法
これらを決めずに走り出すと、対応の質にばらつきが出たり、情報管理が曖昧になったりしやすい。小さな会社であっても、簡単なルールを文書にして共有しておくと、後から見直しやすくなる。
LINEでのやり取りは、あくまで顧客との接点を増やす手段のひとつである。ホームページでの情報発信や広告と組み合わせながら、自社の顧客層や物件の特性に合った運用方法を探っていくことが、無理のない続け方につながる。
よくある質問
- Q. LINEでのやり取りだけで宅建業法上の重要事項説明を済ませられますか
- A. 重要事項の説明や契約条件のすり合わせは対面や書面で行う会社が多く、具体的な進め方については宅地建物取引業法の所管窓口や専門家に確認してほしい。
- Q. 個人のLINEアカウントで顧客とやり取りしても問題ないですか
- A. 個人アカウントでのやり取りは退職時の引き継ぎが難しくなるなどの課題が出やすい。情報管理のあり方については個人情報の取り扱いに関する専門家や窓口に確認することが望ましい。
- Q. LINEで物件価格を案内する際に気をつけることはありますか
- A. 通常の広告と同じく表示のルールが関係してくるため、不動産公正取引協議会や国土交通省の案内で表示事項を確かめてから運用することが望ましい。


